傷だらけのカミーユ (文春文庫) ピエール・ルメートル (著)・ 橘明美(訳) | 読書感想BLOG

傷だらけのカミーユ (文春文庫) ピエール・ルメートル (著)・ 橘明美(訳)

2017/02/23 21:57 neputa

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あらすじ

  • 本書より引用
カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った。一命をとりとめた彼女を執拗に狙う犯人。もう二度と愛する者を失いたくない。カミーユは彼女との関係を隠し、残忍な強盗の正体を追う。『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』の三部作完結編。イギリス推理作家協会賞受賞、痛みと悲しみの傑作ミステリ。

読書感想

読みどころ

  • 第1作でドン底に落ち、第2作で復活を遂げたカミーユ警部に訪れる新たなる人選の苦難を描く物語。
  • 二度あることは三度ある、ミステリの醍醐味をふんだんに盛り込んだ本作においても終盤でガツンとやられる展開が待ち受ける。
  • カミーユ・ヴェルーヴェンという非常に魅力あふれる人間臭い男の物語をぜひ第1作目から読んでほしい。

長かった3部作もいよいよ完結編

ベストセラーとなった『その女アレックス』から読み始めることとなったカミーユ・ヴェルーヴェン3部作も本作をもって完結する。

第1作目『悲しみのイレーヌ』
第2作目『その女アレックス』
思っていた以上にどっぷりとハマってしまい、できることならば第1作目の『悲しみのイレーヌ』から読み始めたかった。

身長145センチの小男、難事件を解き明かす閃きを持つカミーユを、物語が進むにつれ好きになっていく。
そして部下や上司などのキャラクターも非常に個性的な面々が揃っており、彼らのやり取りの場面も読んでいて楽しい。

『その女アレックス』で失意の底から復活を遂げたカミーユだが、完結編で再び運命のいたずらに翻弄されることとなる。

イレーヌとの死別から立ち直り新たな出会いがあったのだが

前作の後、カミーユはアンヌ・フォレスティエという女性と出会い再び幸せな日々をつかもうとしていた。

ある朝、アンヌがコーヒーを飲もうとパサージュ・モニエというパリにあるショッピングアーケードに立ち寄った。この物語はこの運命の朝に起きた事件から3日間を描いた物語となっている。

冒頭の語りは著者による蜘蛛の巣のように張り巡らされた伏線と罠である。

アンヌは宝石店を狙った強盗と鉢合わせ半殺しの目に合う。
しかも、犯人は執拗にアンヌを殺そうと3度試みるが、かろうじて彼女は命をとりとめる。

もう二度と大切な人を失いたくない、かつて凶悪犯に妻であったイレーヌを殺されたカミーユは犯人逮捕に突き進んでいく。

カミーユ・ヴェルーヴェンという男について

話しの大筋は上記の通り、ミステリー作品として非常に楽しめる展開が用意されいると同時に、前作『その女アレックス』にも通じるハラハラドキドキが続くサスペンス要素も盛りだくさんである。

しかし個人的にカミーユという天才的な頭脳を持ちながらも苦悩に満ちた人間臭さにとても惹かれる。
物語の世界では、彼は不愛想で非常にとっつきにくい人物であるのだが、読者の特権、我々は彼の脳内からダダ漏れの思考を十分に知ることができる。

おかしな表現であるが、私には葛藤するカミーユ・ヴェルーヴェンが非常に輝いて見えるのだ。苦悩し、葛藤し、冷静な頭脳がヒートアップして多くの過ちを犯しながらも、最後にはこらえ、犯人を捕まえる。

もっともっと彼の物語を読みたい、できることなら永遠にシリーズが続いてほしい。
残念ながら本作は完結編である。
しかし、以上のような希望を持つ私は自分に都合の良い解釈として、本作の終わり方は、永遠の終わりを告げるようなものではないなと、往生際の悪いかすかな希望を捨てていない。

本シリーズを読んでいる時間は非常に充実した時間だった。

著者・訳者について

  • 本書より引用
ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre
1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作第1作『悲しみのイレーヌ』でデビュー。同第2作『その女アレックス』でイギリス推理作家協会賞を受賞。日本では「このミステリーがすごい!」ほか4つのミステリー・ランキングで1位となった。2013年には『天国でまた会おう』でフランスを代表する文学賞ゴングール賞を受賞。『傷だらけのカミーユ』はカミーユ警部3部作完結編で、イギリス推理作家協会賞を受賞している。
橘 明美(たちばな・あけみ)
1958(昭和33)年、東京生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英語・フランス語翻訳家。訳書に、P・ルメートル『その女アレックス』(文春文庫)、J・ディケール『ハリー・クバート事件』(東京創元社)、H・ボンド『ラカンの殺人現場案内』(太田出版)など。
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